藤井敬三
例会作品
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ユーモア川柳「ああ、のど」<解体新笑シリーズ>
平成28年10月 ジョークサロン 藤井敬三
のら猫が喉を鳴らして寄ってくる
声帯のない愛犬に話しかけ
のど飴をなめても音痴治らない
デュエットの後でうがいをする彼女
のど自慢と笑点で過ぐ日曜日
懐メロ歌手声帯までも歳をとり
隠し芸喉震わせて腹話術
マジシャンは喉に金魚やハトを飼い
女房の喉に小言の針の山
のど飴を口移しした遠い過去
マドンナも隠し切れない喉の皴
スカイツリー見上げて喉のシワ伸ばし
道問われ喉につかえる英会話
とりあえずビール頼めと喉が言う
のど越しを長く楽しむキリンさん
咳払い催促してるトイレ前
ユーモア川柳「ああ、爪」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 28年8月 藤井敬三
マニキュアを虹色にして夏の恋
何かある鼻唄で爪磨く妻
嫁入りのときは隠した角と爪
爪だけはすくすく伸びる定年後
缶ビール栓を抜くとき爪伸びる
ポケモンGO出来ぬ爺は爪はじき
能なしの鷹はやっぱり丸い爪
水虫の棲み家となった足の爪
太鼓腹足の爪切り邪魔をする
風呂上り素直に切れる足の爪
空蝉は幹にしっかり爪を立て
鷹の爪余りの辛さ腰が伸び
爪の差でメダルが逃げるタッチ板
弱くとも爪の先まで虎フアン
逆転されテレビを消して爪を切る
爪に火を灯せばやはり熱かった
ユーモア川柳「ああ、脳」<解体新笑シリーズ>
平成28年7月 ジョークサロン 藤井敬三
懐メロが古びた脳を目覚めさせ
前頭葉ところどころを虫が食い
クラス会想い出話まだら呆け
脳みそをピンクに染める一目惚れ
脳スキャン覗かれそうな秘めた恋
ワン公の脳が便りの散歩道
未使用の脳は老後の役に立ち
小兵でも頭脳で沸かす大相撲
噺家が脳に詰め込む笑いネタ
待ったして人工頭脳に叱られる
脳トレでストレスがまた増えました
作曲家おたまじゃくしを脳に飼い
脳みそが奈良漬けになる二日酔い
脳みそを冷凍したい熱帯夜
ユーモア川柳「ああ、腕」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 平成28年6月 藤井敬三
細腕で育ててくれた母の恩
衣更え白く眩しい太い腕
腕白の勲章だった赤チンキ
ぐるぐると腕を廻して始球式
錦織の腕は世界を駆け巡る
序二段が大関に勝つ腕相撲
腕立て伏せクッションになる太鼓腹
腕まくりブランド時計見せたがる
碁仇がいつの間にやら腕を上げ
細腕の血を吸いに来る蚊が愛し
壁ドンで迫れば腕に?みつかれ
デュエットは腕を組んでも揃わない
板前の腕前わかる卵焼き
腕組みを解けばストレス消えていく
ユーモア川柳「ああ、肌」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 28年5月 藤井敬三
ルノワール少女の肌は衰えず
妻よりも肌がきれいなニューハーフ
小麦肌今は見事に土気色
白内障肌が眩しい衣替え
爺ちゃんはスキンヘッドで若返り
浅草の神輿を担ぐ勇み肌
蚊が狙うビールを飲んだ夏の肌
ツアー客肌身離せぬパスポート
リオ五輪時差観戦で肌が荒れ
ボクサーは餅肌クリンチばかりされ
お相撲の肌は立派なユニフォーム
ままごとの娘が見せる姉御肌
猿たちも露天に浸かる美肌の湯
鳥肌が立つほど好きな松葉蟹
碁仇も弱い相手は肌が合う
年金の先行き知れば肌寒い
ユーモア川柳「ああ、睡眠」<解体新笑シリーズ>
28年4月 ジョークサロン 藤井敬三
定年後予定無くても目が覚める
余命知り眠る時間が惜しくなる
何処ででもすぐに眠れるのが特技
窓際の席に座れば眠る癖
細切れの居眠り足せば10時間
講演会終わる拍手で目を覚まし
優先席若い奴ほどよく眠る
帰りにはみんな爆睡バス旅行
草臥れてママが寝ている子守歌
助手席の妻のいびきはクラクション
真打の人情噺で舟を漕ぎ
夜は観て昼は睡眠リオ五輪
寝付かれず羊がなぜか競走馬
陽だまりにとろけて眠る婆と猫
寝てばかりいては果報が届かない
目を覚まし大いに笑おうジョークサロンで
ユーモア川柳「ああ、胸」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 28年3月 藤井敬三
胸の窓開けて吸い込む春の風
卒業式第2ボタンの予備を持ち
リオ五輪胸に輝く金メダル
胸元が眩しくなった衣更え
セクハラが怖くて胸が遠くなる
健診日勝負下着でレントゲン
競泳の選手に不利なEカップ
お互いの胸襟開き縄のれん
デュエットに胸躍らせる老い二人
クラス会昔ときめき今動悸
胸の内書いた自分史嫌われる
露天風呂胸のしこりも湯に流す
胸のすくナイスショットは谷へ消え
買うときは胸躍らせたジャンボくじ
台風が来て胸撫でる予報官
サミットで探り合ってる胸の内
ユーモア川柳「ああ、アゴ」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 28年2月 藤井敬三
定年後女房のアゴに操作され
ワンコインステーキ顎がくたびれる
ビッグマック喰いつくアゴがはずれそう
ガラ系をスマホに変えてアゴを出し
あちこちを探したマスクあごにあり
ダイエットしても消えない二重あご
二重あご蝶ネクタイが目立たない
爺ちゃんは山羊とあごひげ比べ合い
アゴひげをきっぱり切つて風邪をひき
治療中歯医者にあごを支配され
露天風呂あごまで浸かり雪見酒
カラオケのサビの部分はアゴを振り
人形のアゴに稼がす腹話術
江戸っ子はあごを振り振り喧嘩する
長いアゴついたあだ名がアントニオ
叫んでるムンクのあごは細長い
ビギナーの池越えショットあごを上げ
ユーモア川柳「ああ、指」<解体新笑シリーズ>
ジュークサロン 28年1月 藤井敬三
血圧を上げるナースの白い指
美女見れば先ず薬指確かめる
ビーナス像指で触って叱られた
英雄像上げた指先避雷針
ペン蛸が消えた退職10年目
指を折り首長くして年金日
ゴミ出しをパックの顔で指図され
野良犬に餌やり指に噛みつかれ
虫けらを指で弾いて憂さ晴らす
包装紙破らず開ける妻の指
袋とじ指で開いた跡がある
指丸め猪口で飲むふり誘われる
焼酎のスリーフィンガーとシャレてみる
親指のガッツポーズに照れる爺
指先が市場のセリで舞い踊る
指先で砂に書いてるラブレター
ユーモア川柳「ああ、腹」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 27年12月 藤井敬三
ゆるキャラの着ぐるみ皆んな丸い腹
腕立て伏せ腹が重くて上がらない
ミニスカを穿けば腹巻かと聞かれ
父ちゃんの腹は三段飾り餅
斜に構えポーズを取れど目立つ腹
すきっ腹抱え我慢のダイエット
バイキング朝から腹を開けてある
腹心の部下に窓際あてがわれ
言うことを聞かぬスマホに腹を立て
朝帰り痛くない腹さぐられる
腹時計だけは元気な定年後
母親の出臍ののしる子の喧嘩
メタボ腹見せ合っている土俵入り
腹一杯食って日本の平和知る
ユーモア川柳「ああ、首」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 10月28日 藤井敬三
表彰台首のメダルも嬉しそう
ノーネクタイ視線気になる首のシワ
講演会最前列は首が凝る
聴診器首に掛ければ医者に見え
社交ダンス首は真横に直角に
もう一杯銚子の首に白い指
首なんか差し上げますと無礼講
酔うほどに米つきバッタの首になる
首の皮一枚残し天下り
首にレイ気分はハワイ温泉地
暇そうな首が浮いてる長寿の湯
首都圏と言えども多摩の片田舎
予算委は失言議員の首切場
首塚の石碑の文字も悔しそう
ユーモア川柳「ああ、骨」<解体新笑シリーズ>
平成27年9月 ジョークサロン 藤井敬三
ひと転びあちらこちらの骨が折れ
折れた骨これ見よがしにレントゲン
骨密度低いが高い血糖値
スペアリブ原始時代の味がする
骨見せて恐竜展はカネを取る
ポキポキと敬老の日のストレッチ
骨盤が支えきれないメタボ腹
トンコツ麺トッピングには博多弁
すっぴんの骨相だけを誉められる
骨抜きにされて出てくる美人バー
妻の愚痴聞けば小骨が突き刺さる
喪が開けず骨肉線の幕が開く
百均の傘は軽いがよく折れる
骨折って習った英語通じない
ユーモア川柳「ああ、裸」<解体新笑シリーズ>
体重計全部脱いでも増えている
使用後の裸を見せるコマーシャル
初孫のヌード写真は定期入
爺ちゃんの頭はいつも裸です
寒中の裸祭りに湯気が立ち
彫刻のギリシャの神は露出症
芋虫は裸になれば蝶になる
ゆるキャラは着ぐるみ脱げばバイト生
秘めた恋赤裸々にするワイドショー
グラビアの裸で売れる週刊誌
皴しわの裸ばかりの秘境の湯
社員旅行温泉街のヌード小屋
アクセサリーいっぱい着けて野球拳
宴会は裸踊りで幕が閉じ
ユーモア川柳 「ああ、汗」<解体新笑シリーズ>
ひまわりも汗をかいてる昼下がり
草むしりジョッキも汗をかいて待ち
浅草の夏は神輿と若い汗
仕送りの札に染み込む親の汗
花火師の汗が夜空に花と咲き
鰻焼く親爺の汗も土用の日
生ビールサウナの汗を取戻し
立ち合いで汗がぶつかる大相撲
甲子園汗が試合を盛り上げる
汗を拭く仕草サインと取り違え
審判がいちばん汗をかいている
大汗で外人客に道教え
汗の粒禿げた頭を滑り落ち
汗腺を全開にして熱帯夜
怪談を聞けばたちまち汗が引き
汗の香を選り分けている蚊のグルメ
ユーモア川柳 「ああ、歯」<解体新笑シリーズ>
平成27年6月 ジョークサロン 藤井敬三
痛いです上げた指先女医の胸
抜歯後を知って呑み屋に誘う友
歯並びを誉められ磨くまた磨く
のど飴を噛めば駄目よと言う入れ歯
禁煙で白い歯並び取戻し
川の字に歯ブラシ並ぶ若夫婦
歯ブラシをくわえ駆けだす朝寝坊
新ネタのギャグを飛ばして歯茎見せ
親知らず磨き親爺の脛かじる
愛犬は電動ブラシがお気に入り
日に六度歯磨きをする定年後
ゴール決め撫子たちの歯の白さ
歯ぎしりが少なくなった虎フアン
また増えたシャッター街に歯科医院
ユーモア川柳「ああ、舌」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 27年5月 藤井敬三
初孫にベロベロバーと鬼瓦
利き酒の舌が知ってる安い酒
鯵が消え舌なめずりの猫がいる
局アナもきゃりーぱみゅぱみゅ舌を噛み
Cメール言いたいことも舌足らず
道頓堀饒舌すぎるネオンたち
真打も素人芸に舌を巻き
巻き舌の新入社員に手をこまね
叱られてマスクの中であっかんべー
占い師客見送って舌を出し
慣れぬ嘘二枚の舌がもつれ合う
猫舌とラーメン食えば待たされる
人工呼吸舌入れられて生き返り
湿舌がぺろりと伸びて梅雨になる
ユーモア川柳「ああ、腕」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 27年4月 藤井敬三
二の腕の白さ眩しい衣替え
腕相撲負けて今度は指相撲
血圧計ナースに見せる力こぶ
宿ゆかた腕をまくって無礼講
錦織は牛若丸の腕を見せ
大げさに腕をまわして始球式
吊り橋を揺らして腕にすがらせる
ハグしても腕の届かぬメタボかな
壁ドンで腕の関節痛みだし
花火師の腕を咲かせる隅田川
賽銭箱腕が抜けないバチあたり
葬儀屋の腕章少し嬉しそう
ロレックス老いの腕には重すぎる
ビーナス像腕の形を推理する
寄席通い駄じゃれのウデを少し上げ
ユーモア川柳「ああ、耳」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 27年3月 藤井敬三
嘘と知り義理で耳貸す四月馬鹿
耳染めた可愛い嘘に騙される
窓際になってあだ名が地獄耳
お局さん忍者のような耳を持ち
聞き耳を立てたばかりに共犯者
懐メロになれば聞こえる爺の耳
補聴器は妻の小言を聞くためか
説教も五分過ぎれば耳が閉じ
難聴の二人の会話けんか腰
お土産は耳かき棒と決めている
妻からの耳を疑う誉め言葉
片方の耳が揃わぬ返済日
ユーモア川柳「ああ、口」<解体新笑シリーズ>
平成27年2月 ジョークサロン 藤井敬三
早口の妻がウケてる漫才師
ゆるキャラの口元いつも笑ってる
くちコミで行列作るラーメン屋
山ガール色とりどりの登山口
手相見て星占いで口説く客
喋る口食べる口あり女子の会
美女だから乗ってみようか口車
呑むほどに口のチャックが締まらない
口止めをされると余計喋りたい
爺ちゃんの口約束はすぐ忘れ
隣国の悪口書けばよく売れる
口上はモンゴル人も四字熟語
ユーモア川柳「ああ、目」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 平成27年1月 藤井敬三
妻の目が届く範囲の定年後
見た目よりお年寄りねと褒められる
目の中に入れると痛い孫となり
白内障治し混浴風呂通う
目盛見て体重計が壊れてる
女性車両知らずに乗れば目が刺さる
目が合ってお捻り誘う猿まわし
若者のスマホ歩きは目にあまる
外国語話しかけられ目をそらし
新刊書目次を読んで積んで置く
スカイツリー上ってみたが目がくらみ
覆面のプロレスラーの優しい眼
ユーモア川柳
「ああ、足」 <解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 26年12月 藤井敬三
馴れ初めは炬燵の中で触れた足
足音を聞き分けている恋心
宵闇が足を向かせるネオン街
宴会を沈黙させる蟹の足
酔ってない強がりを言う千鳥足
社会人落語高座で足がつり
水虫の治療に行けば美人医師
メタボ腹邪魔で切れない足の爪
混浴と誘われ行けば足湯なり
サッカーを見ているだけで足がつり
草野球敵のエラーに足もつれ
運動会亀より遅い爺の足
孫が来て残った脛をまた齧る
喪服持ち帰省をしたが勇み足
ユーモア川柳 「ああ、手」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 11月26日 藤井敬三
かじかんだ手に息かけて朝ゴルフ
フェアウエイ大手を振って歩きたい
手が触れて電気が走る初デイト
万歳に気乗りがしない総選挙
候補者は白手袋に爪隠し
手の込んだ嘘ほど顔に表われる
手を広げ逃げた魚の自慢する
お賽銭よりも柏手派手に打ち
手拭と扇子で落語盛り上げる
海外で手振り身振りのショッピング
手話通訳ギャグや駄洒落が通じない
握力が弱く開かないジャムの蓋
モンゴルに今やお手上げ大相撲
皺が増え運命線が伸びて見え
手を挙げて痛さ伝える歯の治療
新しい手帳先ず書く年金日
ユーモア川柳「ああ、顔」 <解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 26年10月 藤井敬三
新婚の頃は笑顔の妻だった
パスポート10年過ぎた顔がこれ
海外で顔がこわばる英会話
顔以外ブランド品で揃えてる
垢抜けた顔で息子が帰省する
インテリに見える夫の伊達メガネ
たぬき顔車内メイクで人に化け
真夜中のパックの顔に悲鳴あげ
変装のゾンビの顔がよく似合う
ミシュランで見知らぬ顔が多くなり
金の無い顔で上司に奢らせる
酒粕で顔を真っ赤に染める下戸
屋台蕎麦ひょっとこ顔で喰っている
小噺も右と左に顔を振り
客席の顔が降りろと言っている
ステーキを盗んだ犬のしたり顔
ユーモア川柳「ああ、食欲」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 26年9月 藤井敬三
女子会の食欲満たすバイキング
別腹を妻はたくさん持っている
喧嘩した日の女房はよく食べる
飽食にブレーキを踏む血糖値
食欲に手錠をかけるダイエット
名人の蕎麦食う芸に腹が鳴る
秋刀魚好き殿が目黒の街おこし
三ツ星の店で食欲照れている
メシだけが日課になった定年後
食欲をそそりっ放しのコマーシャル
今日もまた夜食代わりの非常食
空腹で賞味期限がボケて見え
ユーモア川柳「ああ、身長」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 26年8月 藤井敬三
健診は身長だけが異常なし
サミットの首脳写真の背競べ
パスポート身長欄がない不思議
身長の差で笑いとる漫才師
演歌歌手大スターほど背が低い
背の届く枝に残るは渋い柿
孫が来た届かない場所さあ移せ
見るたびに孫の身長伸び続け
長水路泳ぎ切ったが背が立たず
通販のカタログ見ては背を計り
部長より背が低いから出世でき
身の丈を半分にして朝帰り
へそくりは女房の背より高い場所
盆踊り下手なノッポがよく目立ち
<解体新笑シリーズ>
ユーモア川柳「ああ、関節」<解体新笑シリーズ>
平成26年7月 ジョークサロン 藤井敬三
翌日は関節痛む山登り
ダイエット関節だけがよく目立つ
もう年だゴルフやめろと肘が言う
関節に残る昨夜の安い酒
膝痛も加齢によりと診断書
突き指でタイムが掛かる草野球
関節のリハビリに効くほめ言葉
震度6病んでた腰がすっと立ち
有段の妻は関節攻めてくる
古希古希とラジオ体操骨が鳴る
関節が太り指輪がはずせない
大あくび外れた顎が戻らない
ユーモア川柳「ああ、神経」<解体新笑シリーズ>
平成26年6月 ジョークサロン 藤井敬三
神経を抜かれ入れ歯がまた増える
神経を使わぬ仲のコップ酒
年ごとに神経太くなる家内
深爪で神経質を見透かされ
ズル休み神経痛が顔を出し
神経の図太さ顔に議員さん
無神経な奴ほど上手い英会話
お呼ばれで神経使うほめ言葉
神経を尖らせて待つ午前様
バーゲンで妻の神経鍛えられ
新郎の父神経を擦り減らし
トランプに神経衰弱という遊び
国境の島に神経戦の波が立ち
もう少し神経欲しい下手なギャグ
ユーモア川柳「ああ、脂肪」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 26年5月 藤井敬三
震災に備え脂肪を備蓄する
ツボ押せど脂肪が邪魔で届かない
礼服を腰の脂肪があざ嗤う
衣替えしても脱げない肉襦袢
飼い主も犬も脂肪が重たそう
綱引きのスパースターはメタボ君
芋虫の曲芸みたいストレレッチ
5人掛けメタボ座ると4人掛け
ダイエット勧める医者の太鼓腹
塩もみをしても取れない2段腹
脂肪消すお茶を信じて10杯目
草食の牛に脂肪が付く不思議
外人に道を聞かれて脂汗
別れよう脂肪で指輪抜けません
ユーモア川柳「ああ、爪」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 平成26年4月 藤井敬三
爪の色ながめ健康度のチェック
定年後隠した爪が伸びてくる
することが何もないから爪を切る
喧嘩後のマッサージには爪を立て
つまづいた小石蹴飛ばし爪を剥ぎ
車内での化粧の次は爪を塗り
爪の火がため息をつく年金日
顔は地味せめてネイルはハデに塗る
靴下の指先も泣く通夜の席
踏ん張った足は深爪仁王像
つかみ取りセールに強い長い爪
爪の字はきれいに爪が切ってある
ユーモア川柳「ああ、唇」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 26年3月 藤井敬三
春風に合わせルージュの色を変え
口角を上げてにっこりハイポーズ
合コンはグリスを塗って勝負服
唇に指一本で黙らせる
モンローの唇あせず半世紀
投げキッス一斉にみな横を向く
クラス会唇だけの青い過去
窓際はリップサービス磨きかけ
窓越しに唇を読むお見送り
古希過ぎて口笛吹けど音は出ず
女教師の唇まねる英会話
ローソクを梅干が吹く古希祝い
ユーモア川柳「ああ、頭」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 平成26年2月 藤井敬三
ぼたん雪禿げた頭に積もらない
整髪をすれば心が軽くなる
春一番薄い頭を撫でていく
頭から孫の笑顔が離れない
春が来たベンチに並ぶ膝頭
落石注意頭抱えて走り過ぎ
脳みそをピンクに染める裏ビデオ
髪の毛が減れば減るほど頭垂れ
あいうえお五度繰り返し出る名前
居酒屋の愚痴に出てくる頭文字
勝ち名乗りザンバラ髪の若力士
アルコール注いで脳の錆解かす
ユーモア川柳「ああ、息」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 26年1月 藤井敬三
飼い主も散歩の犬も白い息
かじかんだ手に白い息朝ゴルフ
ハンカチで息を押さえる鑑定士
ため息で曇るダイヤのショーケース
定年後うちの家計は虫の息
ひと息に苦言並べて黙る妻
ため息を肴に今日も一人酒
にんにくを一緒に食べて息合わす
カラオケでため息だけが誉められる
三ツ星のレジで思わず息を呑み
息づかい聞こえるような大画面
看護師がため息ついた手術中
「ああ、体温」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 25年12月 藤井敬三
高熱も無視されている定年後
飲み会と聞いて仮病の熱を下げ
体温が伝わってくるラブレター
冷たい手心熱いは嘘でした
ラッシュ時は美女の体温感じつつ
女医さんの体温うれし歯を抜かれ
知恵熱を出してパソコン習うパパ
熱シート三枚貼れる禿っぷり
立ち読みで覗くと火照る袋綴じ
手の中の駒が湯気出すへぼ将棋
寒い朝便座の熱がありがたい
湯冷めして今では待てぬ神田川
冷え性のサンタ靴下履いて去り
体温も財布も冷えた初詣
ユーモア川柳 「ああ、体重」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 平成25年11月
息をとめヘルスメーターそっと乗り
病院食体重下げて送り出す
ダイエットできて体重言いふらす
女房は体軽計と呼称変え
あの頃は王様抱っこ出来たのに
風呂上りタオルを巻けば土俵入り
メタボでも着膨れと言う妻の知恵
体重で乗馬クラブに拒否をされ
体重が美声のいのちオペラ歌手
女房はふかふかソファー沈みこみ
プリーツの寝押しに便利重いパパ
存在は軽いが重い体脂肪
避難所で生き抜くための太鼓腹
ラッシュ時に体重移動のコツ覚え
ユーモア川柳「ああ、細胞」<解体新笑シリーズ>
平成25年10月 ジョークサロン 藤井敬三
細胞は今日も元気だ美味い酒
細胞も深呼吸する山の宿
細胞が窒息しそう厚化粧
DNA鑑定したい馬鹿息子
免疫細胞寄席で元気を取り戻す
未使用の脳細胞が何億個
秋深し味覚細胞元気なり
皮膚細胞手遅れと言う美人の湯
細胞のかずほど欲しい誉め言葉
大笑い癌細胞が止せという
即決を単細胞と揶揄をされ
百歳はISPに期待する
ユーモア川柳「ああ、筋肉」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 24年9月 藤井敬三
通販のCMギャルの力こぶ
筋トレを三日続けて医者通い
ジム通うポパイのような妻の腕
筋肉を休めていても骨休め
よく喋る女房の舌は筋肉か
エコノミー長い空旅足がつる
掃除機を使っただけで足がつり
アルバムのイケメンボディ嘘のよう
ストレッチばかりしている大掃除
誉め言葉表情筋が嘘っぽい
爺ちゃんの腕立て伏せに吼えるポチ
笑み筋を鍛え五輪のおもてなし
ユーモア川柳「ああ、涙」 <解体新笑シリーズ>
ジュークサロン 25年8月 藤井敬三
去っていく球児の涙沸く拍手
Eメール涙の染みは届かない
会見に悔し涙が透けて見え
だますには涙一粒有ればよい
有り丈の涙こどもの歯の治療
ひとしきり涙を見せて煙草に火
叱られて寝る子の頬に涙跡
玉葱の他に涙を見せぬ妻
飴玉が涙の中で甘く溶け
真打の芸に涙腺くすぐられ
御免ねと言わせ涙を止める人
失敗談悔し涙が笑いとり
歌謡曲涙唄えば良く売れる
年金は雀の涙でも嬉し
失恋の涙おんなの命水
涙腺が少し緩んで好々爺
ユーモア川柳「ああ、眉」<解体新笑シリーズ>
平成25年6月
爺ちゃんは眉毛の長さ自慢する
プールから上がれば顔に眉が無い
年金日しばし眉間の皺が消え
電車揺れ化粧の眉が揃わない
眉尻を伸ばし味わう吟醸酒
急なメモ眉ペンシルをちょいと借り
熟考の碁敵の眉そっと読み
眉と目だけが綺麗な歯医者さん
隠し芸マンガのような眉を描き
候補者の眉八の字で頼りない
眉だけでMr,ビーンは笑わせる
眉に唾つけながら読むマニュフェスト
こらえてもなぜか勝手に笑う眉
眉に手を文化遺産の峰仰ぐ
金髪を裏切っている黒い眉
サングラス眉間の皺は隠せない
ユーモア川柳「ああ、つぼ」<解体新笑シリーズ>
平成25年5月 ジョークサロン 藤井敬三
年毎に手が届かないツボが増え
お笑いが刺激している脳のツボ
お互いのツボ押し合って定年後
あちこちのツボおしている会議中
胴長でマッサージ椅子ツボ合わず
定年延び窓際異動思うつぼ
教わったツボを試しに妻を呼び
保険利く指圧院には長い列
帰省子に肩たたき券見せる父
ハサミより指圧が上手い理髪店
足裏が悲鳴を上げるつぼマット
打たせ湯で気分はまるで修行僧
お小遣い貰えるツボを孫覚え
寅さんに手ほどきしたい恋のツボ
ユーモア川柳「ああ、あご」<解体新笑シリーズ>
平成25年4月 ジョークサロン 藤井敬三
頬杖をつかぬとアゴが寂しがる
何の夢見ているのかなアゴ撫でて
物の名が思い出せずにアゴで差し
あご紐をすれば真面目な顔になる
体重は減ったが取れぬ二重あご
近頃の電話はアゴで挟めない
孫の守り三日目にはあごを出し
綱引きは一斉にアゴ天に向け
古希過ぎてあごが疲れる歯の治療
恐竜の顎は太古を語りそう
老いのあごビッグマックが入らない
アントニオ猪木のアゴは武器になる
ペリカンの下あご欲しいバイキング
長いアゴ売りものにする漫才師
カラオケの演歌になるとアゴを振る
会心のジョークを飛ばし顎撫でる
混浴にアゴまで浸かりじっと待つ
ユーモア川柳「ああ、膝」 <解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 25年3月 藤井敬三
江戸仕草こぶし一つの膝送り
スカートもアベノミクスで膝を見せ
活気づくスカイツリーのお膝元
膝頭オヤジの視線いやと言う
石段の長さを嘆く老いた膝
赤チンキいつも塗ってた膝小僧
読経の長さに膝が悲鳴上げ
膝小僧抱えられないメタボ腹
お座敷の膝が喜ぶ掘り炬燵
地震かと貧乏ゆすりの膝叱る
美味い話膝乗り出して騙される
喜んで膝に来るのはペットだけ
膝正し借金話切り出され
新しいジョークひらめき膝を打つ
ユーモア川柳「ああ、胃腸」 ジョークサロン 25年2月
悪玉と思えぬ呼び名ピロリ菌
寒い夜寝酒欲しがる腹の虫
江戸っ子の蕎麦は胃腸が噛んでいる
熱燗が五臓六腑に染みわたる
うなぎ屋の煙胃腸を刺激する
胃と腸がずる休みする二日酔
胃も腸も賞味期限を気にしない
空腹にバリウムうまいレモン味
合コンと聞けば胃腸若返る
内視鏡腹の底まで覗かれる
三ツ星の味を知らない胃が不憫
胃の写真見せて禁酒を告げる医者
盲腸のような役職当てがわれ
我慢したゲップ腸からそっと逃げ
ユーモア川柳「ああ、血」
ジョークサロン 24年12月 藤井敬三
シニアには声が掛からぬ献血車
血糖値検査の夜は大ジョッキ
採血後体重計に乗ってみる
血圧の数値低いとまた計る
歯石取るだけで出血させた歯科
お見合いで血液型を尋ねられ
ダイエット貧血おこし中止する
老いらくの恋で血潮が若返る
家系図は無いがペットに血統書
通信簿血を正直に伝えられ
隣国と親善試合血が騒ぐ
バーゲンのチラシで妻の血がたぎる
血相を変えて見つめるジャンボくじ
エロ本で鼻血も出ない歳になり
ユーモア川柳「ああ、脳」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 24年10月 藤井敬三
錆びついた脳が目覚めるクラス会
栄養が脳に届かぬメタボ腹
未使用の脳細胞が古希迎え
記憶術何度読んでもすぐ忘れ
不都合なことは忘れるまだら呆け
飼い主がペットの脳に追い抜かれ
貸した金だけはしっかり記憶脳
酒漬けの脳はネオンで蘇る
くたびれた脳が欲しがる誉め言葉
思春期の脳は異性のことばかり
彼女とは脳波が合わず片想い
二股の恋でニューロンもつれ合い
ものは付け脳細胞が遊びだす
イチローは頭脳プレイでホームイン
落語家はボケないという自画自賛
脳トレで知恵熱が出たお爺ちゃん
木枯らしが脳の中にも吹き始め
わが脳がiPSを待ちこがれ
ユーモア川柳「ああ、ひげ」<解体新笑シリーズ>
平成24年9月 ジョークサロン 藤井敬三
無精ひげ伸び放題の定年後
髭のあるセールスマンに身構える
女房に髭は生えぬが角生える
老舗店看板文字にひげがある
宝塚男装のひげ色っぽい
イチローの髭は涙を知っている
つけ髭はクシャミをしたら飛んでいく
指名犯ひげを剃ったり生やしたり
ポーカーに負けてクイーンに髭を描き
指名犯ひげを剃ったり生やしたり
免許証ひげの写真を疑われ
地震予知なまずの髭に神頼み
ひげ面の息子が脛をまだかじる
呆けたのか剃ったばかりで又も剃る
髭だけは生きているぞと伸びてくる
ユーモア川柳「ああ、歯」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 平成24年8月 藤井敬三
秋深しとうもろこしで歯が抜ける
大切な入れ歯忘れたグルメ旅
酔うほどに脱げてしまった歯の衣
つま楊枝二度美味しさを味わえる
歯磨きをしても治らぬ二日酔
不揃いの前歯でかじる金メダル
消費税上がらぬうちに歯の治療
すぐ抜ける健康保険で治した歯
インプラント決めて乾杯する歯医者
親知らず抜けた息子が脛かじる
白い歯を見せてはならぬお説教
高齢化吸血鬼まで総入れ歯
はずされた歯車ひとつ定年後
髪の毛も歯も抜け落ちて生きている
ユーモア川柳 「ああ、肘」<解体新笑シリーズ>
ジョークサロン 24年7月 藤井敬三
エコノミー肘にも欲しい指定席
肘を曲げ手を上げている参観日
腕組みの肘が不満を訴える
運動会メダル代わりに肘の傷
ラッシュ時の隣の肘がツボを押す
両肘を曲げてバントのサイン出し
窓際の肘掛け椅子が欠伸する
なでしこも肘張り合ってゴール前
爺ちゃんのパソコン操作肘を張り
絶世の美女の肘撃ち痛くない
カウンター飲めば肘にも根が生える
噺家は肘で駆けたり歩いたり
ラーメンを食うとき肘がいそがしい
肘枕テレビに飽きた夏休み
ユーモア川柳「ああ、汗」<解体新笑シリーズ>
平成24年6月 ジョークサロン 藤井敬三
定年後汗だくになるストレッチ
職安に汗を知らない顔並ぶ
表彰台笑顔に汗がよく似合う
完済へローンの為に流す汗
晩酌のビールの為に汗をかく
飲む量に正比例して出る寝汗
この頭汗は出るけど毛は生えぬ
節電を嘲るように汗流れ
汗までも宝石に見え惚れた人
この夏は三段腹に汗疹でき
携帯が汗だくになるラブコール
いつ見ても汗を拭いてるメタボ君
大汗をかいて遅刻の詫びを言う
朝帰り嘘をとがめる脂汗
持ち駒が汗をかいてるヘボ将棋
原発を思い出すたび汗が引く